カナダ西海岸バンクーバー島におけるDouglas-fir （Pmdotsuga menZiesii）優古林内のSalal （Gaultheria shallon）および数種林床植物の分布様式

摘要

カナダ西海岸に位置するバンクーバー島に広がるDouglasーfir優古林において，Saalと数種の林床植生構成種の競争および共存関係を明らかにすることを目的とし，各の分布および出現傾向を検討した．調査地はMacMillan Park，Mt．MaxwellおよびNanaimを選定した．これらのうち，前2調査地の森林は01d growth forestと呼ばれる原生林であ，Nanaimoは伐採後成立した二次林である．各調査地点に20mX20mのコドラートを2カ所置し大プロットとした．また，各大プロットを2mX2mのメッシュに区切り，サブプロトとした．大プロットに出現した全種につて種名，被度（％）を記録し植生状況の把握を行った．また，林床出現種間の相互関を理解するために，優占度の高い種について各サブプロットごとに被度を4段階（被度％：0,0～30％：1,30～60％：2,60－100％：3）の階級に分けて記録した．得られた生データからTWINSPAN（TwoーWay Indicator Species Analysis）を用い，識別種の抽出と生分類を行うことで調査区間の類型化を試みた．その結果，SalalとDull-Oregongrap（林床型1），SalalとBrackenfern（林床型）がそれぞれ同所的に出現することがわかった．前者は原生林における貧栄養の影響後者は二次林特有の環境要因による影響であると考えられた．Salalが出現しなかったMcMillan Parkでは，Stepmoss，Sword fernおよびVanilla－leafが同所的に出現した（林型3）．MacMillan ParkではSalalにとってセーフサイトとなる倒木や腐朽木が多く，Salaの生育に好適であるが，光透過量が少ないことからSalalの生育量が少なかったと考られた．