ロスマリン酸を含有した腸溶性カプセルによるAβ 42 の凝集抑制効果

摘要

アルツハイマー病とは脳神経細胞が死滅する病気で ある。アルツハイマー病の治療薬は複数存在するがそ れらは症状の抑制であり、根本の治療は行えないため 予防は重要である。アルツハイマー病発症の原因とし てアミロイドβ(Aβ)がある。Aβ が凝集し毒性を発生す ることで脳神経細胞の死滅が進むというものである。 つまり、Aβ の凝集を抑制できる物質はアルツハイマー 病に対する予防薬になりうると考えられる。Aβ の凝集 を抑制する物質の1 つとしてロスマリン酸(RA)があり、 予防薬として期待されている。pH 変化を伴う胃から小 腸に至る消化過程においてRA の活性を維持1)させるた めには、RA を小腸から吸収させることが重要であり、 RA を包括固定化した腸溶性のカプセルが有望視されて いる。本研究では、腸溶性のカプセル壁材としてアル ギン酸-キトサン複合膜2)を用い、アルツハイマー病予 防製剤としてRAが機能するかどうかを目指している。 今回の講演では、RA を包括固定化するカプセル製剤 の調製ならびにRA 単体が生体内のpH 環境下でどのよ うに活性を維持し、Aβ の凝集阻害効果が得られるかに ついて評価した結果について報告する。