下地鋼材の残留錆が重防食塗装の防食性能に与える影響

摘要

電力設備をはじめとする鉄鋼構造物では、腐食対策として、塗装がおこなわれている。しかし、紫外線や降雨などにより経年劣化し、最終的に塗膜下で鋼材の腐食（塗膜下腐食）が開始する。一般的に塗膜管理は、目視や経年数によりおこなわれているが、想定より早く劣化する場合が少なくない。その劣化発生部位は、下地鋼材の表面処理を施工しにくい場所に多く存在し、塗装施工時の下地鋼材の表面状態の違いにより発生すると考えられる。一般的に、下地鋼材に錆が存在すると塗膜劣化が早く進行し、錆が多いほど塗膜下腐食の開始が早いといわれているが、塗膜下腐食と下地鋼材の表面状態の関係について明らかではない。そこで、重防食塗装の防食性能と下地鋼材の表面状態の関係について検討した。