酸化タングステンの昇華を利用したナノ探針作製法

摘要

数100 nmオーダの曲率半径を有するタングステン探針は，走査型トンネル電子顕微鏡のプローブやLSI故障解析装置のプローブ，ナノ材料計測，さらには，生体信号計測に用いられるなど，ナノスケール計測において必要不可欠である.電解研磨法は一般的なナノ探針作製法で，Zhangらによって提案された.電解液中で環状電極と金属ワイヤとの間に電圧を印加することで，タングステン線を表面から化学的に除去し，最終的に破断させる.破断面は図1(a)に示すように，先端曲率が200 nm程度に先鋭化する.電解研磨法は簡便で優れた手法であるが，探針1本あたりの作製時間が15分程度と長い.この問の電解液液面の揺れや，発生する気泡によって探針形状はばらつくため，探針作製の歩留まりが低くなる問題点があった.