炭化ケイ素の水中低摩擦発現界面形成のためのマイクロ·ナノ複合テクスチャにおけるナノテクスチャの役割

摘要

低炭素社会の実現を目的としてエネルギーの高効率利用が求められている.そのための手法の一つとして低粘性流体である水を用いた潤滑が注目されている.ケイ素系セラミックスを水中で摩擦させるとトライボ化学反応の進行による水和物の形成と摩耗にともなう平滑化に起因した低摩擦を発現する.一方，低粘性流体を用いる水潤滑ゆえに耐荷重性に難があり，この向上が水潤滑実用化のための課題となる.これに対し近年，マイクロメートルサイズの凹部及びナノメートルサイズの粗さを併せ持つナノ·マイクロ複合テクスチャを有する表面が，耐荷重性の向上と超低摩擦発現に対して有効であることが報告されている.そこで本研究では，ナノ·マイクロ複合テクスチャの有効性の科学的解明を目標に，ここでは主にナノ·マイクロ複合テクスチャにおけるナノテクスチャの低摩擦発現界面形成に対する役割を明らかにする.