マグネシウム合金の大気腐食挙動に及ぼす合金元素の影響

摘要

マグネシウム合金は実用金属材料の中で最も密度が小さいく、比強度が高く振動吸収特性にも優れている。このため、軽量化が求められる携帯電話、ノートパソコンなどの筐体に広く使用されている。現在のところ、Mg-3%Al-1%Zn(AZ31B)やMg-9%Al-1%Zn(AZ91D)などの合金が汎用的に用いられている。これらの合金はAlを含有することで耐食性も比較的良好である。マグネシウムは今後、自動車などの高速輸送機器への応用も期待されているが、アルミニウムやチタンなど従来の軽量材料に比較して、耐食性に劣るという問題点がある。従って、高い安全性と信頼性が要求される用途に対しては、さらなる高耐食化が必要とされている。そのためには腐食機構を理解しておくことが重要であるが、まだ不明な点が多い。著者らは以前の研究で、大気環境における純Mgの腐食挙動を検討し、腐食の発生とその進展過程を明らかにした。本研究の目的はマグネシウム合金の大気腐食挙動に及ぼす合金元素の影響を明らかにすることである。