高温高圧純水中における溶体化ステンレス鋼のSCC感受性に及ぼす化学組成の影響

摘要

低炭素ステンレス鋼は、鋭敏化型SCC対策材料として国内BWRプラントのPLR配管や炉心シュラウドなどに用いられているが、2001年に国内プラントで316系低炭素ステンレス鋼の溶接部近傍にSCCが認められた。このため、低炭素ステンレス鋼の非鋭敏化型SCCについて、SCC感受性に及ぼす材質や冷間加工などの影響について様々な研究が行われている。材質の影響については304系と316系におけるSCC感受性の比較から、Moと500ppm程度のCを含有する316ステンレス鋼が304系よりも高い感受性を示すとの報告があるが、SCC感受性に及ぼす化学組成の影響については不明な点が多い。本研究では、オーステナイト系ステンレス鋼の合金元素のうち、Ni、Si、Mo、N、C量が異なるモデル合金を溶製し、実機相当配管材とともに高温高圧純水中でCBB試験を実施することで、SCC感受性に及ぼす化学組成の影響を検討した。