手術を受ける子どもへのプレパレーションの実践と普及の検討 : キワニス人形と木製模型を用いた方法を試みて

摘要

病院で子どもたちに行われる検査や処置に対する心理的準備としてのプレパレーションが欧米を中心に広く行われてきているが,日本ではまだ十分とは言えない状況である。本研究では,膀胱尿管逆流症の手術のために入院した4歳女児に対して,看護師がキワニス人形と木製模型等を用いたプレパレーションを実施し,実施する上での効果的な要素と普及の可能性を検討した。実施後に担当看護師を中心とした入院から退院までの経過についての検討会を行い,その内容から作成した逐語録と退院後に返送された調査用紙の内容分析を行った。その結果,【子どもが自分で描いた人形を説明に用いること】が,【説明への参加の導入】となり,【親も子どもの説明に参加すること】によって理解が促され【医療者との関係性を促進する要素】となっていた。また【看護師の主体性をさらに磨く方法】として普及していくために【子どもに説明することの根本的な意義を浸透させていくこと】や事例を重ねて【病棟の状況に応じた方法】を検討していくことの必要性が示唆された。