Development of experimental teaching materials to deepen understanding of the properties of textiles with the sensually recognition 〜Through the class practice of clothing (water absorptivity and quick-drying of fiber) in junior high school〜

摘要

中学校家庭科の衣服の学習において、繊維素材の吸水性と速乾性に関わる性質の理解に役立つ実験教材を提案・検討した。実験教材として布への滴下法（JIS L 1907）の改良型である肌への滴下法、およびpH 指示薬を使用した変色法（速乾性試験）を考案し、それらの評価のための授業実践を行った。実践では対象試料を綿布とポリエステル布に限定した。実験方法および授業者の違いを比較するため4クラスを2クラスずつに分け、それぞれの方法を用いて授業を実施した。また、教材の有用性評価は授業前後の質問紙調査によって行った。授業後には吸水性や速乾性における質問への正答率が上昇した。また、肌に残る汗の量に関する質問では、布への滴下法よりも肌への滴下法を用いたクラスで正答率が高かった。視覚だけではなく肌で感じることで、素材の吸水性への理解が深まり、吸水されずに肌に残留する水分を意識させることができたと考えられる。生徒の自由記述には授業内容を踏まえて着装に関する考察がみられたことから、開発教材は各自の衣生活と素材の性質を関連させて捉えさせるうえで有用であることが示唆された。なお、授業者の教師経験年数が短い場合でも、同等もしくはそれ以上の学習効果を得ることができた。