地方自治体のWebアクセシビリティ : 新潟県内自治体Webサイトにおけるアクセシビリティの現状と課題

摘要

インターネットで代表されるITによる情報社会が現実のものとなり、ITは多様な社会活動・生活行動の基盤を支える情報インフラとして欠かせないものとなった。なかでも、このインフラは高齢者・障害者にとって大きな意義をもっている。このような状況において、自治体が運営するWebサイトの果たす役割は非常に大きく、その役割を十分に果たすためにはアクセシビリティが重要である。そこで本稿では、日本国内におけるWebアクセシビリティ推進に関する主な取り組みを概観し、現状を把握するため新潟県内自治体のWebサイト（44件）を点検調査した。その結果、適合度を満たしているWebサイトは2件しかなく、大多数のWebサイトは不適合であることがあきらかとなった。また、不適合となったWebサイトにおける違反、要確認事項には一部の項目がそれぞれの大部分の割合を占めていると同時に、それらはほぼ共通の事項であるという現状を把握できた。今回調査対象となったWebサイトにおいて緊急の対策を考慮する場合、上述の各結果に大きな影響を与えている項目から優先的かつ重点的に対応していく必要があると考え、その項目（問題点)について修正方法をふくめ解説した。さらに、今後Webアクセシビリティの確保、および向上するための方策を考える場合、Webアクセシビリティの技術や手法とともにWebアクセシビリティの概念ならびに必要性を認識するための教育・啓蒙活動をおこなうことも必要かつ重要という方向性を見出すことができた。