A review about the recent discrimination learning research of children with moderate and severe intellectual disabilities

摘要

知的障害児を対象とした弁別学習の最近の研究を概観し,最近明らかになってきた知的障害児の学習特性についての所見をまとめた。最近の知的障害児の弁別移行学習研究は最大許容試行数の延長,反復学習,1次元課題の使用等により,従来,学習不達成者・困難者として研究から除外されてきた対象児に焦点を当てる傾向にある。学習困難児に対して事前次元分類・言語化指導を行った研究では,それらの指導が適切次元対する注意の確率を高め,学習の達成を容易にさせることが報告された。1次元2価課題を用いた研究では,健常児は生活年齢2歳代で学習を達成するのに対し,知的障害児での学習達成は言語理解年齢3歳以降になることが確かめら,手がかりに対する言語ラベルの獲得時期が学習成績に影響を与えているのではないかと推察された。さらに,学習過程の分析から,重度知的障害児でも反復学習経験により,適切次元への注意が高まれば学習が急速に達成されることが示された。