The Effects of Verbal Reinforcement Combinations on the Three-Alternative Sensory-Motor Learning and Extinction in Normal and Mentally Retarded Children and Analysis of Error Factors

摘要

ほぼ精神年令の等しい正常児と精神薄弱児とに, 6選択単位3選択肢の感覚運動的記銘学習の習得と消去を行なわせることにより, 言語強化の3つの組合せ, すなわち, RW, RNおよびNWの効果を調べ, さらに誤り要因分析をおこない, 学習過程の質的な差異を検討することを, この論文の目的とした。その結果は次のようであった。1.習得期における言語強化の効果は, 正常児においても精神薄弱児においても, RWが最もすぐれ, NWが最も劣った。そして, そのような言語強化の差は出発点に近い選択単位におけるほど著るしく, 目標点に近い選択単位ではみられなかった。このような選択単位の影響が, 正常児の方に著るしいことも, 正常児の学習が早く進んだことから理解された。2.誤り要因分析から, RWがすぐれ, NWが劣るのは, 正常児では誤り要因Alternation with respect to positionの減少の程度に, 精神薄弱児ではRepetition with respect to positionの減少の程度にかなり依存していることが明らかになった。3.消去過程における誤反応率においても, RW, RNおよびNWの3群間に大きな差はなく, Nが強化値をほとんど得ていないことが考えられた。4.正常児と精神薄弱児の差は, 後者が種々の測度で習得が劣ることが示され, 誤り要因分析から精神薄弱児においてはRepetition with respect to positionの抑制が習得と密接な関係のあることが示された。消去において, 両者とも出発点に近い選択単位ほど誤反応率が低く, あとの選択単位ほどそれが高くなっていた。5.選択単位の位置効果についてみると, 習得期において出発点に近い選択単位ほど習得が早く, 出発点から遠い選択単位ほど習得が遅いことが正常児および精神薄弱児ともみられた。