Studies on u27Ishinashiu27 of u27Chojurou27 (Japanese pear)

摘要

石ナシ発生樹の生理生態的観察および石ナシ果実の調査を行なった.1.ルートボックスによって根の生長周期を比較したところ石ナシ発生程度との間に明確な関係はみられなかったが, 石ナシ発生樹は秋根の伸びが悪く, 秋以前に異常をきたしているようであった.2.掘り取り調査によって根の形態を調べたが石ナシ多発樹の根は, 細根の量が少なく, 根は屈曲が多いなど不健全な様相を示した.3.根のTTC還元力は, 春期に高く, 夏期に低下し, 秋には再び高くなった.石ナシ発生樹の根はおおむね低い還元力を示した.4.葉の飽和水分不足度は石ナシ発生樹の方が高かった.その値は根のTTC還元力の値と密接な関連性が見られ, 根のTTC還元力の高い樹ほど, 飽和水分不足度が小さかった.5.石ナシ果実は, 健全果にくらべて, 生育初期から縦径横径および果径指数が大きい傾向がみられ, 生育後期の生育の鈍化がやや急激に現われた.6.果径指数は, 石ナシ程度のやや強い果実が大きかったが, 石ナシ程度別には一定の傾向がみられなかった.7.果肉硬度は, 石ナシ程度のいちじるしい果実ほど高く, 部位別には蒂部の硬度が赤道部のそれより高く, 石ナシ程度による差が明瞭であった.8.果実の糖度は, 石ナシ健全果の間に大きな差が認められなかった.