The Process of identity formation in a female university studentwith anthropophobic tendency: a case study

摘要

本研究では,対人恐怖心性を抱える大学生女性におけるアイデンティティ危機からアイデンティティ形成の過程とそこへの介入について,学生相談における一事例の検討を通して考察した。事例のクライエントは,親の期待に沿ってきた“良い子u22であったが,大学での専攻違和を契機にアイデンティティ危機に陥り,対人恐怖心性が強く認識され,不適応症状を呈した。面接の経過においてクライエントのアイデンティティ形成が進むにつれ,対人恐怖心性は減弱した。第一に,面接の経過を通して,対人恐怖心性を抱える大学生女性のアイデンティティ危機と対人恐怖心性との関連について考察した。第二に,クライエントのアイデンティティ形成に向けた心理的援助において,心理過程に沿った援助ニーズやカウンセリングアプローチについて考察した。