A contrivance of physiology practical learning -for understanding of the excellence of the profound biofunction through the change of blood glucose levels in mice compositely burdened with fasting, adlibitum feeding, and water immersion

摘要

機能・代謝学の生理学実習において、実験結果を多面的に深く統合して考察することで、生命をあらしめている生体機能の完成された見事なはたらきを実感できるようにすることは、学生の学習意欲を高めるために重要なことである。ここでは2008年度前期に改良・考案した実験について報告する。「ストレスによる血糖値変化と調節機構に関する実習」において、マウスに水浸拘束負荷を与えて血糖値変化を測定する際、実験時の摂食条件を2通りにする改良を行った。前年度まで行っていた実験1では、24時間絶食させたマウスに「強」と「弱」の水浸拘束を負荷した。その結果、水浸拘束が強くても弱くても血糖値は低下し、その差はわずかであった。改良した実験2では水浸拘束強度を固定し、実験前の摂食条件を変えて行った。すなわち、24時間絶食マウスと非絶食マウスに「弱」の水浸拘束を負荷した。絶食マウスの結果は実験1と同様に低下したが、非絶食マウスでは上昇した。非絶食条件では水浸拘束による不快ストレスがもたらす視床下部-下垂体-副腎皮質系および視床下部-交感神経-副腎髄質系を介したホルモン作用によって血糖値が上昇したと考えられた。絶食条件では、水浸拘束による不快や寒冷の複合的なストレスに加え、骨格筋や心筋における酸素消費の増加が関与して血糖値が低下したものと考えられた。 以上より、異なった摂食条件の実験をすることで、条件間に特徴的な相反する条件が得られ、摂食状態によるエネルギー代謝やグリコーゲン貯蔵の差異を理解した上で、ストレスに対処しながら生命を維持している生体機能についてより深く多面的に考察できるようになった。