近接光源位置の推定は,照度差ステレオ法やShape from shading法などの物体形状や物体表面における反射特性の推定において重要な課題である.本論文では画像から実環境における近接光源位置を推定する方法として,中空透明球体を用いる新たな手法を提案する.提案手法には,(1)単一の参照物体のみによる推定を行うため参照物体間の幾何学的キャリブレーションが不要である,(2)同一の光源に対する反射光が画像上で球中心を通る直線上に観測されるため反射光の対応付けが容易である,(3)画像上で反射光の再投影誤差を最小化することで光源位置を安定に推定できる,という特長がある.実験では,まずシミュレーション環境において中空透明球体を用いた光源位置推定を行い,様々な光源位置に対する推定誤差の分布を調査した.また,実環境においても三次元位置推定精度を評価し,加えて線光源に対する三次元復元実験を行うことで,本手法による対応点の決定が容易であることを確認した.
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