実用的な環境における自動家電認識手法

摘要

近年，地球温暖化対策として，二酸化炭素排出量を削減のために省エネルギーの取り組みが盛んに行われている．また，東日本大震災による電力需給の逼迫をうけて，工場やオフィスだけでなく，一般家庭でも消費電力の削減に対する需要が高まっている．一般家庭での省エネルギーを推進するサービスとして，スマートタップを用いて消費電力の見える化を行うものがある．しかし，どのスマートタップでどの家電機器が使用されているかという情報は，ユーザが予め登録しておく必要がある．そこで，スマートタップから得られた電力情報を用いて家電機器の自動認識を行うことで，より便利なサービスが可能になると考えられる．スマートタップを用いた家電機器の自動認識の既存手法は，学習に使用されていない家電機器認識の評価がなされていないという問題や，大量の学習データに対応する手法が示されていないという問題があり，一般的な家庭環境において家電認識システムを実用する際に問題となる．本研究では，前者の問題に対しては，電源環境の変化に強い特徴ベクトルとして，電流波形の周波数スペクトラムを用いた特徴を使用することで対応する手法を示し，後者の問題に対しては，階層的クラスタリングを用いたデータ削減とノイズ除去の手法を提案する．　さらに，実用的な環境における家電認識システムとして，ユーザが家電機器を登録する作業を支援する目的の，リアルタイム家電認識システムを提案する．提案した家電認識の手法について，その有効性を評価する実験を行った．実験結果として，未知家電の種類を分類する実験では，学習データを約96％削減した上で，分類の候補を3つまで使用することにより，94％の検出率を得た．