The Environmental Pollution by PCBs and PCTs resulting from Reclaiming Waste Paper (I) : The Contamination of Bottom Deposits in Lake Biwa near-by a Waste Paper Reclaiming Factory

摘要

故紙再生を通してのPCB, PCTによる環境汚染の状況を把握するために, 1つの事例として, 大津市東部に位置する一板紙工場を対象とし, 同工場の排水の影響を受ける琵琶湖の底質, 湖水および工場排水の汚染の実態を調査した。得られた結果は, 1. 底質中のPCB, PCT濃度は新排水路 (1970年以降) およびその周辺で高い値を示し, 排水路口からの距離とともに減少する傾向が認められた。また, PCBは1970年まで使用されていた旧排水口付近ではとくに高い濃度を示したのに対して, PCTは新排水路中で最も高い濃度レベルにあり, 両者の汚染のピークの時期にはずれがあったと思われる。2. 底質中のPCB濃度, PCT濃度, I, L. (強熱減量) の3者の間には, それぞれ明らかな正の相関が認められ, 工場排水中のPCB, PCTは, その大部分が繊維カスなどの浮遊物に吸着されているものと思われる。3. 底質中のPCBは, 高濃度汚染地点のものでは, KC-300 (カネクロール-300) に類似したガスクロマトグラフパターンを示すが, 濃度が低くなるにつれて低塩素数のものの割合が減少する。これは水への溶出, 水中からの蒸発による低塩素部分の選択的消失によるものと考えられる。