Cultivation of Seedlings and Cuttings Applied Subsurface Automatic Irrigation Method by Porous Ceramic Pipe

摘要

素焼多孔質管を用いた地下潅水法による作物の栽培は古くから実用化が試みられてきたが, 木本の育成についてはほとんど応用されていない。本研究は普通の陶土を1, 100℃で焼結した外径3cm, 浸出面長20cmの素焼パイプの給水性能と, 造園用樹木の育成ならびに挿し木に対する効果をプランターを用い温室内で検討したものである。その結果, 以下のような特性が明らかになった。1) 給水量は正圧の方が著しく大きく, また負圧が大きくなるほど減少する。いずれも土壌表面からの蒸発量と比例する。2) 腐植質や砂を混合した空隙の多い用土より, 田土のような粒径の細かい土壌の方の給水量が多い。3) 土壌湿度は素焼パイプから隔たるにしたがって同心円的に減少する。4) 造園用苗木を27ヵ月間育成した結果, サツキとサザンカは負圧 (設定水頭-13cm) の方が, カナメモチは正圧 (+20cm) の方が良く成長した。この間の給水量は気温が高くなるほど多くなった。5) サツキ, サザンカ, カナメモチの挿し木の発根状態は手潅水より-1cmの負圧潅水がよかった。以上から, 自動的, 連続的に給水の可能な素焼パイプによる地下自動潅水法は, 苗木の育成, 挿し木養苗にきわめて有効であるといえよう。