Stereo-analysis of Morphology of Hardwood Fibers with Serial Transverse Section

摘要

数種の広葉樹材の連続木口切片を作製し, ディジタイザとパーソナルコンピュータを用いて木部繊維の横断面のフェレ径, 周囲長, 面積, 壁厚を測定し, その軸方向の変化を追跡した。さらに軸方向柔細胞との対比により, 伸長成長による繊維の形の変化について検討した。木部繊維断面のフェレ径では, 概して接線フェレ径よりも放射フェレ径の方が大きかった。フェレ径の軸方向変化では, 放射フェレ径が比較的一定の値を示す領域 (body 部) が繊維中央でしばしば認められた。壁厚のばらつきは大きいが, 接線壁と放射壁ではほぼ等しいかあるいは前者が大きい傾向がみられた。同一放射列上の軸方向柔細胞と繊維の横断面寸法を比較した結果, 伸長成長の著しい繊維では断面形状の変化に伴ってフェレ径は変化するが, 周囲長には大きな変化は認められなかった。環孔材孔圏や散孔材の年輪はじめの繊維では伸長成長は少ないが, フェレ径, 周囲長はともに増大する傾向がみられた。