Studies on multiple mucosal biopsy in patients with bladder cancer. 3. Evaluation of ABH antigenicity in specimens of multiple mucosal biopsy and transitional cell carcinoma of the bladder

摘要

1980年4月より1983年6月までの期間に加療した膀胱癌89症例に粘膜生検法を行い,主腫瘍の生検組織126検体,生検粘膜組織723検体を対象として組織内血液型抗原を検索した.血液型抗原陽性率は上皮内癌の微小浸潤17%,上皮内癌29%,移行上皮癌47%,上皮異形成35%,上皮過形成71%,などであった.主腫瘍の血液型抗原陽性率は組織学的異型度の上昇とともに低下し,組織学的深達度との間には相関が見られなかった.血液型抗原の有無と生検粘膜の組織学的所見との関連では,陰性例において組織学的異常が見られる頻度が高かった.TUR症例において5年累積非再発率は,主腫瘍の血液型抗原陽性例に57.3%と高かった.累積非再発率は血液型抗原陽性の主検領域では手術後63ヵ月の時点で82.8%と有意に高かった.層別の検討では,生検粘膜の組織学的所見が上皮異形成,正常粘膜の領域において,累積非再発率が有意差をもって高かった