視覚的手法を用いた区画整理事業に対する住民の選好について : 神戸市のアーバン・フリンジを事例として

摘要

神戸市西区伊川谷の前開地区は, 神戸市のアーバン・フリンジに位置しているが, 急速に開発が進展し, 農村の土地利用と景観が変化してきた。このような都市近接農村では, 自治体も住民参加による地域計画を実施しようとしている。そこで, 調和のとれた地域計画を作成するための住民の意見を知ることが必要になってきた。このような点をふまえ, 主として航空写真を用いて景観変化に関する住民の選好を調査し, 報告した。今回は, さらにこの選好内容を具体的かつ視覚的に把握するため, 同地区を対象に, 今後展開される予定の区画整理事業等による開発計画を検討し, そのいくつかの例のスケッチとコンピューター・シミュレーションを用いて住民の選好を調査した。結果として, 住民の景観に対する選好は開発と保全の間で多様な展開を見せたが, とくに低密度の開発と河川や道路などの帯状緑化が, 農村集落景観の保全計画にとって不可欠な要素であることが明らかとなった。