A Study on the Amount of Mineral-Nitrogen in Forest Soils (I) On the Seasonal Variations of Mineral-Nitrogen

摘要

1966年4月から1968年2月までの約2年間, 奈良県吉野のスギ林, 滋賀県日野のヒノキ林および栗太のアカマツ林, 京都越畑のアカマツ林, 京大農学部苗畑の模型林分の5ヵ所で1ヵ月ごとに無機態チッ素 (NH_4-NとNO_3-N) と全チッ素の季節変化を調べた。1) 全チッ素は各林分とも局地的な違いで多少のバラツキがあったが, 一定の季節的な変化はなくほぼ一定であったとみなし得る。平均含有率は吉野で0. 91％, 日野で0. 50％, 越畑で0. 20％, 苗畑で0. 12％, 栗太で0. 08％であった。2) NH_4-Nは各林分とも7, 8月にもっとも大きくなり, 吉野で32ppm, 日野で17ppm, 越畑で9. 4ppm, 栗太で6. 7ppm, 苗畑で6. 8ppmであった。その後, しだいに小さくなり12 - 2月には, 各林分とも5ppm前後の含有率を示した。3) NO_3-Nは季節と関係した一定の傾向はみられず, 各林分を通じて常にNH_4-Nより小さく, 4. 5ppm以下であった。4) 無機態チッ素 (NH_4-NとNO_3-Nとを加えたもの) はほぼNH_4-Nと同じような季節変動をし, 気温が高くなるにつれて指数関数的に増加する傾向を示した。5) 無機態チッ素の垂直分布は, 各季節とも表層土がもっとも大きく, 深くなるにつれて小さくなった。この傾向は夏にもっとも著しく, 冬になると表層と下層との差は小さくなった。また, 下層土の季節変化は表層土と同じように夏に大きく冬に小さかった。6) 無機態チッ素量は全チッ素量の多い林分ほど多く, どの林分も全チッ素の0. 1 - 1. 0％含まれていた。