Kock continent ileal urinary reservoirによる尿路変更術20例の検討 : 特に合併症について

摘要

1986年8月より1990年7月までに,20例のKock continent ileal reservoirによる尿路変更術を施行した.術後3ヵ月以内の早期合併症として,創部感染4例,尿管回腸吻合部からの尿漏出3例,輸出脚の脱出,腸閉塞は各2例,逆流,尿管狭窄,回腸吻合不善,術後膵炎は各1例づつ認めた.晩期合併症としてpouch内結石形成2例,輸入脚狭窄1例をみたが,この狭窄はDacron collarの部位に認めた.早期10例と後期10例に分け,各グループの合併症と手術成績を比較検討した.早期10例のうち8例にのべ14例の合併症を認めたが,後期10例では4例に減少した.症例が増すにしたがって早期合併症は減少し,手術成績も後期10例の方が早期10例より良好であった.術後水腎症の検討を行ったところ,術後1, 2ヵ月目では9例に軽度の水腎症が認められたが,術後3ヵ月以降は5例と,正常化する傾向が認められた.pouch内に400～500 ml注入時の最大pouch内圧は37.9±12.2 cmH2O (mean±SD)と,注入に伴う内圧の著明な上昇は認めなかった