中・高齢者の歩数計使用の主観的有効感と歩行数増加・運動継続との関連

摘要

本研究は,歩数計の使用は身体活動の増加に有用であると感じる主観的有効感の有無と身体活動量・目標歩数達成割合・体力・自己健康感・体力への不安・今後の運動継続希望との関連を検討し,歩数計の有用性を検討した.対象者は,新潟県M市の健康教室へ参加した市民106名で平均年齢66±5歳で,3ケ月間,個別プログラムに基づき教室でのトレーニング(筋カトレーニング,エアロバイクによる有酸素性運動,ストレッチィング)を週2回,自宅でのトレーニング(筋カトレーニング,ストレッチィング)を週3回,ウォーキングを毎日実施し,1日の目標歩数を3000歩とした.7日間のメモリー付歩数計を全員携帯した.3ケ月目まで運動を継続できた者は98.1%おり,約73%は歩数計の使用が身体活動量の増加に有効であると回答した.女性の場合,歩数計が有効と感じる者は,そうでない者に比し歩行数・目標歩数の達成割合が有意に高く,目標歩数8000歩を達成した者は,10m障害物歩行・6分間歩行の歩行能力が有意に優れていた.男性の場合,両部間で歩行数・目標歩数達成割合・体力に差は見られなかったが,歩数計が有効と感じる者だけで検討した場合,歩行数は有意に増加していた.さらに,歩数計が有効と感じる者は,3ケ月目の自己健康感が良好な者・体力に自信のある者・今後も運動を継続したいと希望する者の割合が高いことから,歩数計の使用は,運動への動機づけとなり,健康や体力に自信をもたらし,今後の運動継続への意欲に寄与したことが示唆された.以上のことから,7日間のメモリー付歩数計は,3ケ月間という短期間ではあるが,運動継続の動機づけの支援機器として活用可能であることが示唆された.今後,さらに歩数計と運動継続との関連を明確にするため,ランダム化比較試験を実施することが必要と思われる.