Regeneration of Castanopsis sieboldii forest : 2. Effects of temperature and storage on the germination of C. sieboldii seeds (Forestry Experiment Station)

摘要

イタジイ種子の発芽については, 苗木増殖に関していくつかの報告がある。ここでは天然更新の面から, 発芽に及ぼす温度や発芽床, 貯蔵について実験を行なった。1. 発芽の最適温度は23∿25℃で, それ以下では発芽勢が弱くゆっくり発芽し, またそれ以上の温度では急速に発芽する傾向がみられた。2. 変温による発芽促進の効果は明らかでなかった。3. 発芽床は口紙をしいただけのものよりバーミキューライトと川砂での発芽率が著しく高かった。しかし口紙発芽床でも置床した種子の上に口紙をのせると発芽率は増大した。4. 風乾貯蔵は発芽の低下が著しく, 土中埋蔵は貯蔵中に発芽する種子が多かった。5. 5∿10℃の低温貯蔵は貯蔵期間の長さに伴って発芽種子が増大する傾向にあるが, 未発芽種子の保生は良好であった。6. 温度, 貯蔵, 発芽床からイタジイ種子の性質について考察し, 自然条件下におけるイタジイ種子の消長は毎年短期間にくり返されるのではないかとした。