3. pH and soluble silica in Dark Red soils (Fertility Studies on Soils of Okinawa in Relation to Sugarcane Production) (Department of Agricultural Chemistry)

摘要

暗赤色土サトウキビ畑におけるケイ酸に関する知見を得るため,宮古島8ヵ所,糸満市4ヵ所計12ヵ所の暗赤色土サトウキビ畑(1985年夏植え)について1986年6月∿12月にかけて土壌pH,土壌可溶性ケイ酸含量,サトウキビ葉身及び葉鞘のケイ酸含有率などを調べた。結果は以下の通りであった。調査圃場では土壌pHがサトウキビ栽培の適性値(pH6.0∿7.0)にあるものは少なかった。土壌の可溶性ケイ酸は約6∿100/100gの範囲にあったが,6月より10月に減少しており,この減少の程度は酸性土壌で大きかった。また土壌のpH(H_2O及びKCl)と可溶性ケイ酸の間には統計的に有意(5%)な正の相関関係が認められた。サトウキビ葉身及び葉鞘のケイ酸含有率は両者とも6月から12月に向けて高くなる傾向がみられた。ケイ酸含有率において葉身と葉鞘に大きな差は見られなかったが,同含有率のばらつきは葉鞘で小さい傾向がみられた。土壌の可溶性ケイ酸含量とサトウキビ葉身・葉鞘のケイ酸含有率の間には多くの場合有意な正の相関関係が認められた。但し相関関係は6月の土壌可溶性ケイ酸含量対8月の葉身・葉鞘のケイ酸含有率及び10月の土壌可溶性ケイ酸含量対12月の葉身・葉鞘のケイ酸含有率でより大きくなる傾向があり,サトウキビ植物体におけるケイ酸の吸収移動には時間のかかることが伺われた。