Studies on the intrauterine migration of the fertilized ovum in the goat (Department of Animal Husbandry)

摘要

沖縄産山羊40体の左右卵巣黄体数と子宮角内胎児数とを検討し, つぎの成績を得た。1.山羊の排卵は左卵巣よりも右卵巣が優位を示すが, 左右子宮角内の胎児数はほぼ等しく, そのためMigrationを確認したものは全検索例40例中23例で, 57.5%を示した。2.Migrationの方向はすべて排卵機能旺盛な卵巣側から機能の劣る卵巣側へ向うものである。Migrationの結果Cornerのいうがごとく胎児の分布平均するものが多い(57%)が, 工藤のいうOvermigration(過剰移動)により黄体数の少ない側に反って胎児数の多い例も多数(43%)みられる。3.排卵機能の差が大となるにしたがってMigrationの現象も顕著である。すなわちMigrationの動機は左右卵巣の排卵機能不平均によるとのCorner, 工藤の豚についての考察は, 今回の山羊についても肯定される。4.今回の検索例では子宮内胎児死亡例はみられなかったのでMigrationあるいはOvermigrationと胎児死亡との関連については不明である。本研究の要旨は第69回日本獣医学会(1970年4月)において発表した。