A Research Study on the Model of the Environmental Reforestation of the Urban Residential Areas on Okinawa

摘要

地域環境緑化の基本ファクターは, その地域の植生遷移(サクセッション)や極相(クライマックス)と, その地域社会の伝統的な森の文化である。これらの要素を組み合わせて, もともとその地域にあった原植生・原風景の緑環境を復元する。この帰納的緑の街づくりの考え方にもとづいて, 浦西団地を事例に, 都市住宅地域の環境緑化(緑のマスタープラン)モデルを, 次のようなプロセスで描いて見た。団地周辺の植生のクライマックスは, タブノキの林である。大きくは照葉樹林域とみなしてもいい。この照葉樹林の構成樹種の一つであるクスノキ科(タブノキ, クスノキ, ニッケイなど)の植物を, 団地緑化の基本樹種として選び出す。周辺の歴史・文化の調査で, 小地名やウタキの存在が確認されたので, これらを緑づくりのプランのなかに生かす。「ふるさとの森づくり」では, 古代琉球の叙事詩「おもろそうし」のなかの植物を取り入れ, 地域の森の文化の意味づけを行なう。さらに, これらの要素を組み合わせて, 近世琉球の風水思想に見られる集落立地の考え方にもとづいて, 団地の風水的意味づけと, 全体の植樹のグランドデザインを作成する。まとめて言えば, このプロセスは地域の自然や歴史や文化のポテンシャルを可能な限り引き出して, それらに緑の自己主張をさせようとした試みでもある。