クマゲラ生息地におけるブナの林況別の枯死木の状況

摘要

クマゲラの生息に重要なブナ林の要因を解明するため、食物供給源としての枯死木に注目し、ブナ成熟林とブナ二次林における枯死木の種類および材積量を調べた。枯死木の種類は、立ち枯れ木、伐根、倒木の3 種類であり、枯死木の合計材積量はブナ成熟林の方がブナ二次林より多かった。枯死木の種類別では立ち枯れ木、倒木の材積量でブナ成熟林の方がブナ二次林より多かった。また、ブナ成熟林とブナ二次林の違いを説明することができる枯死木の種類を調べるために、ブナ成熟林とブナ二次林の区分を一般化線形混合モデル(GLMM)の応答変数とし、立ち枯れ木、伐根、倒木を説明変数として、AIC を基準に最も説明力の高いモデルを選択した。その結果、ブナ成熟林の重要な要因として立ち枯れ木が検出された。そのため、ブナ成熟林ではブナ二次林に比べて枯死木の材積量が多く、枯死木のうち立ち枯れ木と倒木が多いことがわかり、クマゲラの生息には枯死木、特に立ち枯れ木が重要な役割を担っていることが示唆された。