電気二重層効果から見た電極反応速度論：Eyring Transition-State Theory or Linear Free Energy Relationship？

摘要

手元にある上下2巻からなる物理化学の教科書には，熱力学は完成した学問であるが，反応速度論は「まだ発展途上にある」と記されている。反応を素反応にわけることは容易ではないし，単純な反応であってもその反応経路·活性化エネルギーを例えば第一原理計算等で正確に計算することは困難であるからである。本研究では，電極反応速度論であるButler·Erdey－Gruz·Volmer（BV）理論を，電気二重層効果の導入を行うことから逆に考えてみた。絶対反応速度論では，反応経路で反応物と活性化状態しか考えないが，Linear Free Energy Relationship（LFER）では生成物と反応物の自由エネルギー差も考慮している［1］。