自動車用部品·ユニット商品：粘性式オートテンショナ

摘要

自動車エンジンのカムシャフト駆動には，タイミングベルトが広く使用されているが，更なる高付加価値化の要求に伴い，メンテナンスフリー化，静粛性の向上等が求められている．タイミンクベルトの使用に際しては，固定式テンショナやオートテンショナが使用されてきた．しかし，固定式テンショナを使用したエンジンでは，·ベルトの伸び·摩耗による張力の経時的な低下；·エンジンブロックとベルトの熱膨張率の違いによる張力変化；が起こり，高い張力ではベルト寿命の低下や騒音が発生し，また，低い張力でもベルトのばたつきによる騒音や，ベルト歯欠け－寿命の低下等の問題が発生していた．これらの問題を解決するために，ベルトの張力を一定に保つオートテンショナが使用されるが，油圧式，摩擦式等のダンパ方式を採用したオートテンショナではダンパ特性が不安定であり，張力の最適化が難しいことが明らかになりつつある．今回，NSKでは，従来から対応している多板式粘性ダンパを用いた軽量·コンパクトなオートテンショナで更にベルト騒音の低減を図ったオートテンショナを開発した．本報では，この独自構造のオートテンショナについて，その構造，機能及び特長について報告する．