マイクロフレネルレンズの精密ガラス成形/成形条件による成形転写性の実験的検討および成形試作

摘要

多数の不連続な曲面で構成されているガラス製マイクロフレネルレンズを量産（プレス成形）するため，本報では、微粒子超硬合金製フレネル形状の型を試作し，赤外加熱方式のガラスレンズ成形装置にこれらの成形型を搭載して，L-BAL42製のマイクロフレネル·ガラスレンズのプレス成形について検討を行った．本実験では型に対する成形レンズの転写性を評価するシステムを作成し，成形温度，成形圧力などに対する型のレンズへの転写性などを評価し検討した．主な結果を以下にまとめる。 （1）成形荷重および成形温度が低いほど成形時の形状転写性が良好になる傾向である．（2）L-BAL42製のレンズの場合，レンズ厚さの安定性を考慮に入れると，成形圧力が約35MPa,成形温度が約260℃近傍の条件が最も適している．この条件でのフレネルレンズの成形精度は0.3μmP-Vであった．今後は，成形時における形状誤差発生のメカニズムを明らかにするため，冷却時における温度の分布や，これに伴うレンズ変形機構を温度分布解析と弾塑性変形解析などについて検討する予定である．なお，本研究の一部は，（財）昭和報公会平成11年度技術研究助成を受けて実施された．また，フレネルレンズの三次元形状の非接触測定は（株）三鷹光器岡田陸民の協力を得て行われた。 関係各位に感謝の意を表します．