新時代の幕開け：ポルシェ 911 (PORSCHE 911)

摘要

コードネーム996の跡を継ぐのが1文字違いの997だと言われれば、ポルシェに特に興味のない人は単純なフェイスリフトであることを想像するに違いない。 しかし今回のモデルチェンジはそうした安易なものではない。 カレラGTと同じく997のエクステリアデザインを担当したラーソン氏によれば、部品点数をベースに計算すれば3.6Lバージョン同士で比較しても80％が新たに設計されたのだという。 シャシー／ボディに関して言えばフロアの一部とルーフこそ996と共通するものの、それ以外のアウタースキンはすべて別物であり、ガラスやガラスのマウント方法、さらには前後のサブフレームも新たに設計された。 エンジンは3.8Lが追加されているし、ギアボックスも実は軽量化のために刷新されたのだという。 つまりこういうことだ。 ポルシェが未曾有の危機にあった1993年頃に基本部分を設計した996では経済的な理由からできずにいたことを、今回の997では実行に移すことができた。 だから997は、996コンセプトが本来持っていたポテンシャルを最大限に発揮できる車に仕上がくったのだと。 ポルシェの歴史を振り返ればこれは930と964の関係に近いかもしれない。 そういえば1989年当時、初めてのカレラ4がデビューしたときも80％が新設計と主張していたことを思い出す。