ゲノム医療における遺伝子検査の重要性と薬剤師の役割

摘要

21世紀初頭に分子遺伝学Molecular geneticsや分子生 化学Molecular biochemistryなどの生命科学分野における 生命現象を分子レベルで解析することが可能となった. 特に,2003年に分子遺伝学において,ヒトの遺伝子配 列の解明が進むと同時に,遺伝子塩基配列から個人の 遺伝子解析によるパーソナリティーpersonality （個人の 性格,個性，人格等）を解析することや個人の祖先 （ルーツ）を探ることに興味を示す話題が社会に多く みられるようになった（中下2016, 土田，2019）.このような研究が認識されるようになった大きな要 因の一つとして,個人の遺伝子検査技術が飛躍的に発 展したからである.その結果，ヒトの遺伝子の塩基配 列が個人毎に異なること（個人差?多様性）が解析さ れた. さらに,一般の消費者が直接インターネット 等を介して遺伝子検査を行うDTC （Direct-to-Consumer） 遺伝子検査会社が氾濫し,自分の遺伝情報を取得する ことが可能になった.