サラシア属植物サラシア?オブロンガ(Salacia oblonga)の地上部エキス末 熱水抽出物の非臨床安全性試験

摘要

サラシア属植物は,インド,タイ,スリラン力などの熱帯 地域で広く自生する植物であり,現地では伝統的にその根 及び幹部が，糖尿病予防?治療に用いられ飲用されてきた (Warner et al., 1996),近年,サラシア属植物(主にSalacia reticulata, Salacia oblonga, Salacia chinensis を含む)は食後血 糖値の上昇抑制効果が明らかになり,日本においてサラシ ア属植物は,焙煎加工した健康茶やサラシア属植物の熱水 抽出物を配合した加工食品が流通している.米国でも,サ ラシア?オブロンガ熱水抽出物(SOE)を配合した加工食品は全土で広く流通しており,FDA(米国食品医薬品庁)から一般 的に安全なものとして GRAS(Generally Recognized As Safe) を取得している(Schultz,2014). サラシア属植物抽出物の血糖上昇抑制作用メカニズムは, ヒトの腸管に存在するショ糖や麦芽糖等の二糖類を加水分 解するalpha-グルコシダーゼ阻害酵素の阻害作用による糖の吸 収抑制であり，その関与成分としてサラシノールやコタラ ノ ールが発見された(Yoshikawa et al., 1997; Yoshikawa et al., 1998; Yoshikawa et al.,2002; Beppu et al.,2005; Matsuura et al.,2004; Yoshikawa et al.,2001).