創立以来74年,ルーツをたどれば遠州に110年

摘要

遠州鉄道は静岡県浜松市に本社を置き，新浜松-西鹿島間の鉄道線と静岡県西部一円の一般路線バス，東京や中部国際空港への高速路線バス，貸切バスを運行する。そのスタートは太平洋戦争下にあった陸上交通の統合による1943（昭和18）年11月1日である。遠州とは江戸時代の呼称「遠江国」を表す地域で，現在の静岡県西部，袋井から浜松に及ぶエリアを指す。統合に際しては当時の遠州電気鉄道や浜松自動車など6社の合併および4バス事業者の事業譲渡により誕生するが，静岡県西部と北部に至る広範な営業エリアはこの時に形成された。今年で創立74年を数えるが，鉄道部門の母体となった遠州電気鉄道のルーツは1907（明治40）年に創業した浜松鉄道まで遡る長い歴史を持つ。本誌では遠州鉄道の先進的な試みや特徴的な車両は折にふれてご紹介しているが，事業者訪問にご登場いただくのは1998年発行のNo. 49以来の2度目になる。前回から19年を経て，改めて同社の”いま”を取材した。ご紹介いただくのは同社取締役運輸事業本部長の宮田洋，運輸業務部長の高林宏明，整備課長の寺田正直，運輸総務課甜課長の小林廉の各氏である。