褐色細胞腫

摘要

約90%は副腎に発生(狭義の褐色細胞腫）し，約10%は全身の交感神経節に発生(傍神経節細胞腫)する.反復する発作的な頭痛?動悸?高血圧や腫瘍径3 cm以上の副腎?後腹膜偶発腫瘍で本症を疑う.簡便なスクリーニングとして，随時尿中メタネフリン，ノルメタネフリン(尿中クレアチニン補正値)を測定する.Beta遮断薬単独投与は禁忌である.まずalphaあるいはalpha beta遮断薬を投与する.既往歴: 特記すべき事項なし.4年前から降圧薬治療を受けている.最近の血圧は120~130 mmHg台/80 mmHg台（アムロジピン5mg錠朝1錠?夕1錠，カンデサルタン8 mg錠朝1錠内服中）であった.1年前から月に2回程度，発作的に胸苦しさと頭痛が生じ，その際の家庭血圧は160/90mmHgであった.診察室での血圧は安定しており，心電図異常もなかった.自分では更年期の症状だと思っていた.1力月前の人間ドックで，1年前と比べて2 kgの体重減少，糖尿病，腹部エコーで3 cmの左副腎腫瘍が疑われた.主治医と相談し当院内分泌内科を受診した.