甲状腺機能異常

摘要

甲状腺疾患は糖尿病に次いで頻度の高い内分泌疾患である.甲状腺機能のスクリ 一二ングには，血清TSH測定が有用である.診断?治療では，一過性の甲状腺機能異常も多いことに留意して，軽微な機能異常時には経過観察による判断も重要である.一般検査値の異常が甲状腺疾患発見の端緒になることも少なくない.常に甲状腺疾患も念頭に置いた診療が必要である.甲状腺疾患は，内分泌疾患のなかでは糖尿病に次いで頻度が高い.典型的な症例の診断は比較的容易であるが，症状?症候の乏しい例や他疾患に誤認されている例も少なくない.最近では，甲状腺機能検査を取り入れている健診?人間ドックも増えており，甲状腺機能異常を最初から指摘される例も多くなってきている.また，肝機能や糖?脂質代謝などの一般検査値異常が甲状腺疾患の発見契機となることも比較的多い.本稿では，一般診療における甲状腺機能異常について概説する.甲状腺機能検査の基本と甲状腺機能異常を伴う疾患甲状腺ホルモン分泌の調節は，視床下部一下垂体ー甲状腺系で行われ，血中甲状腺ホルモンの過不足により血清thyroid stimulating hor-mone (TSH) が増減するnegative feedback機構で常に甲状腺機能が正常に保たれている.TSHは甲状腺ホルモンが異常を呈する前から変動するので，甲状腺機能のスクリーニングに適している.