低ナ卜リウム血症

摘要

低Na血症は体液量の変化により3病型に分けられる.体液量の増減を推定することが診断のキーとなる.高齢者の発熱など，身体的ス卜レスを契機とする低Na血症のなかに下垂体前葉機能低下症が潜んでいることが多い.高齢者の低Na血症は病態による特徴が乏しく，関連する所見を的確に評価することが必須となる.低ナトリウム（Na)血症をきたす疾患は，水代謝やNa代謝の異常を伴う.水代謝異常では体液過剰による希釈性低Na血症を起こす病態，Na代謝異常では腎からのNa喪失をきたす病態が認められる.急性に血清Na値が減少すると低Na血症の症状から発見されることがあるが，大部分の低Na血症はルーチン検査から見い出される.したがって，診断の手順は見い出された低Na血症の鑑別を通して内分泌疾患の存在が浮かび上がることになる.本稿では，低Na血症の特徴を捉え，内分泌疾患をいかに早く見い出せるかを論じてみたい.