GERDの外科治療

摘要

現在広く世界で行われている手術の代表は，Nissen噴門形成術(Nissen法，図1)または Toupet噴門形成術(Toupet法，図2)の2種類 である.開大した食道裂孔を適度に縫縮した後 に，Nissen法では腹部食道に胃底部を360°巻 き付けて噴門形成を行い，主に北米を中心に採 用されている.一方，Toupet法では腹部食道 に胃底部を後壁側に270°巻き付けて噴門形成 を行い，主にヨーロッパを中心に採用されてい る.また，腹部食道の前壁に胃底部を縫着する 前壁噴門形成術はオーストラリァを中心に行わ れているが，本邦ではほとんど採用されていない.噴門形成術は現在では腹腔鏡下に施行されるようになった.歴史的には1991年にDalle-magne"やGeageaが世界で最初の腹腔鏡下噴 門形成術について報告した.その後，腹腔鏡下 手術と開腹手術の治療成績に関するランダム化 比較試験が盛んに行われた.その結果，腹腔鏡 下手術は開腹手術に比べて，術後の疼痛が軽度 で，食事摂取開始が早く，入院期間や仕事復帰 までの期間が短いなどの術後短期成績が良いば かりでなく，腹壁瘢痕ヘルニア関連の合併症が 発生しないため術後長期成績も良好であること が明らかとなった.最終的に，腹腔鏡下噴門形 成術が標準と考えられるようになった.