リズム障害と睡眠異常

摘要

概日リズム睡眠障害は近年矧こ注目され，24時間社会の大きな問題となっており，最近の睡眠専門外来の調査から難治性の睡眠障害のうち約半数は内因性の概日リズム睡眠障害であることがわかっている。 代表的な概日リズム睡眠障害として睡眠相後退症候群と非24時間睡眠覚醒症候群があるが，これらの患者に対し夜間のメラトニンピーク時に光照射を行うと健常者よりも光感受性が高いことがわかっており，概日リズム睡眠障害では夜間の高照度光が発症に関連し，日常生活では改善しにくい状況にあると考えられる。 また，睡眠相後遺症候群の患者では回復睡眠が得られないことから概日リズム睡眠障害は生物リズム機構のみならず恒常性睡眠維持機構に障害があることを示唆している。 さらに最近の分子生物学的研究の発展は目覚しく，横目リズム睡眠障害についても遺伝子の変異が相次いで報告されており，さらなる病態解明，診断、治療法の開発が急務の課題といえる。