脳梗塞慢性期治療薬サアミオン（一般名：ニセルゴリン）

摘要

近年，脳卒中死亡率は減少傾向にあったが，高齢化とともに受療率は増加しており，脳卒中の後遺症で苦しむ患者は増加している。 また，高齢者の寝たきり患者の約4害は脳卒中が原因とされ，脳卒中関連の医療費も非常に高額であることから，脳卒中の慢性期において再発予防や後遺症に対する治療が非常に重要となっている。 　 従来，脳梗塞慢性期の薬物療法として脳循環代謝改善薬が多用されてきた。 しかし，1996年からの再評価によって薬剤の効能が順次見直され，現在，脳梗塞後遺症の諸症状に対して保険適応を持つ狭義の脳循環代謝改善薬はサアミオンを含め3成分に限定された。 しかし薬剤の選択肢は減少したものの，再評価をクリアした成分に関しては有効性が再確認されたと言える。 2004年に発表された『脳卒中治療ガイドライン2004』では，脳梗塞慢性期の治療に脳循環代謝改善薬の使用が推奨されている（grade B）。 本稿では，脳循環代謝改善薬のなかで脳梗塞後遺症の意欲低下に対する改善効果が科学的に認められたサアミオンについて概説する。