産地の挑戦: ノーハウから工学へ

摘要

21世紀は人間の時代と言われており、質の高い生活を送ることのできる社会を形成することがわれわれの重要な課題である。 したがって、人間にとって物理的に最も近い「環境」である衣服の質を向上させることは、少なからぬ意義をもっており、これは繊維産業の有する特有の社会的意義であるともいえる。 高品質な衣服とは単に染料が落ちないとか引っ張っても切れないということではなく、人間との適合性の高いもののことである。 適合性とは、着心地の良さという基本的な衣服の着用性能をはじめとして、衣服の目的に応じた、着用する人間の要求への適合性全般と捉えるべきであろう。