丸め誤差のあるシフト直交実数有限長系列の非周期自己相関特性

摘要

シフト直交実数有限長系列は，非周期自己相関関数のサイドローブが両端を除いて0となる系列であるため，スペクトル拡散通信等において有効である．この系列は，いくつかの適当な長さの要素系列によって合成されるので，要素系列ごとに分割した高速な相関処理を提供できる．しかし．この系列は，系列値が実数なので，その丸め誤差が相関特性に影響を及ほす．したがって，本論文では，その丸め誤差に対する一括相関処理と分割相関処理の丸め誤差の影響について検討した．相聞出力の誤差の2乗平均は，前者では，系列長に反比例し，後者では，各要素系列の系列長に反比例した2乗平均誤差の和となる．これより，後者においては相関処理の高速化に伴い，短い要素系列の誤差を抑えなければならないことがわかる．特に，応用に対して，回路規模をあまり大きくしないで，平均2乗誤差を少なくする方法を検討する．