医用超音波断層画像のデータ圧縮方法の提案

摘要

本論文では，近年病院での臨床診断において広く用いられている超音波断層画像の圧縮方法を提案している．これまで，超音波断層画像の圧縮については，一般に提案されている画像圧縮法を適用した試みがいくつか報告されているが，本研究では，超音波断層画像の特徴を有効に活用し，超音波画像に適した効果的な画像データ圧縮法を提案する．本方式では，点広がり関数に応じたパターンを画像から順次差し引いていき，差し引く際の位置と値を保存することにより，診断に必要な情報を損なうことなく，効果的に画像を圧縮しようとするものである．本論文では，本手法による画像圧縮の有効性を確認するために，実際に生体で得られた断層画像に対して本方式を適用する実験を行った結果について述べる．ここでは，原画像との相関係数を求めて画質の評価を行った．また，標準的な画像圧縮方法として，JPEGによる圧縮画像との比較を行った．その結果本手法によって圧縮・復元された画像では，ブロック化ノイズもなく，1/10程度の圧縮率を実現できた．