エッジ荷重画像強調フィルタの縦続接続構成

摘要

本論文は，エッジ荷重高域フィルタの新しい構成と，その荷重関数の設計法を提案している．画像強調法として，画像の高周波成分を増幅し，エッジの輝度差を強調する方法が広く用いられている．この方法は，一般にアンシャープマスキング法と呼ばれ，簡単な構造で強調効果を得ることができる．高周波成分を入力画像から抽出する方法として線形高域フィルタを用いると，入力画像に重畳された雑音成分が高域フィルタ出力に現れ，雑音成分が強く強調される問題があった．この問題を解決するために，高域フィルタにエッジ特徴量から定義される荷重関数を乗じ，画像平たん部で高域フィルタ出力の増幅を抑制する方法が提案されている．しかしながら，従来のエッジ荷重高域フィルタでは，エッジ座標上に発生している雑音成分を強く強調するために，出力画像のエッジ座標が不規則に揺らぎ，輪郭線に不連続が発生する．本研究では，エッジ座標上の雑音成分を抑圧するために，新しいエッジ荷重高域フィルタの構造を提案している．この構造は，高域フィルタを縦続接続へ分解し，前段のフィルタ出力に荷重関数を乗じる構造となる．更に，雑音増幅を抑圧するために，荷重関数を複数のエッジ特徴量の線形和で定義し，雑音増幅の統計的な解析から，出力雑音分散を最小化する荷重関数のパラメータを求めている．実験により画像強調結果を従来法と比較し，提案法の有効性を確認している．