多面体表現を用いた全方位ビデオの圧縮

摘要

人の住む三次元世界をそのまま映像化する三次元映像メディアに関する研究が活発に行われているが，大量のデータを効率的に扱い，放送・配信・アーカイブに広く利用するためには，統一されたデータ圧縮手法の確立が不可欠になる．そこでは従来の映像情報に含まれない三次元幾何情報を同時に効率良く扱うことが課題となる．本論文では，三次元映像メディアの一つである全方位ビデオに着目し，多面体表現を利用した圧縮手法を提案する．そこでは，1）全方位ビデオの多面体表面への投影，2）多面体の平面への展開，3）通常の二次元平面映像に対する圧縮法の適用，によって，データ表現の効率が良く，既存の技術との親和性の高い圧縮手法を実現する．本論文においては，全方位ビデオの撮影・伝送・表示のシステム全体を考慮したときの提案手法の優位性を明らかにし，実映像及びシミュレーション映像を用いた実験によって，既存の全方位ビデオの表現法との定量的な比較を行う．更に，効率良い表現のための多面体の選択指針を明らかにする．