森川国康先生の思い出 一私が力二ムシ研究を始めたころ一

摘要

以前「どろのむし通信」にそのいきさつを少し書いたこ とがありますが，重複を承知でもう一度当時を思い出しつ つお世話になった森川先生を傯んでみます. 昭和48年（1973年）に女子高校に就職してから1年を 終えようとしていた.仕事に慣れるのに必死だった日々を ふと省みたときに，目標のない自分を発見し，このままで は現状に満足して何もしなくなつてしまう危険を感じた. 悶々としていたとき，当時鳥取大学教授でいらした恩藤芳 典先生が用事で上京されるという.さっそく特急出雲で来 られた先生と東京駅でお会いし，何か研究したい旨を申し 上げた.全国旅行が出来て，まだ未開拓で，文献が少なく て，それでいて面白い動物の研究がしたい.そんな私の身 勝手な訴えを黙って聞いておられた先生は，にっこりと タぐって一人の研究者を紹介してくださった.