空間的相関のあるノイズによって劣化した画像の修復

摘要

これまでのベイズ推定に基づく画像修復の枠組みでは，画像に重畳されるノイズは画素ごとに独立であると仮定されていた場合がほとんどであった．しかし光学系の特性等を考慮すると，重畳されるノイズに空間的な相関が生ずると考えるのは自然である．そこで，本論文では，並進対称性な空間的相関をもつノイズで劣化した画像の修復を，確率的情報処理の枠組みで議論する．まず，原画像は近接相互作用のみをもつガウスモデルで生成されるとする．更に，各画素に重畳されるノイズは空間的な相関をもつガウスモデルで生成されるとし，相関は並進対称性をもつとする．このモデルではフーリエ変換を用いることにより，修復誤差等の系の性質が解析的に計算できることが知られており，修復過程に用いた確率モデルのハイパパラメータが，生成過程でのハイパパラメータに一致するとき，修復誤差は最小値をとることが知られている．本論文では，人工画像を用いることで，空間的相関をもつノイズで劣化した画像修復の性質について議論する．また，周辺ゆう度最大化を用いることでハイパパラメータを推定し，実際に空間的な相関ノイズによって劣化した画像の修復を行う．